25歳のBUMP歌詞考察ブログ

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Butterfly

 

 

曲名  Butterfly
作詞/藤原基央
Butterflies(初回限定盤)(Blu-ray付)

Butterflies(初回限定盤)(Blu-ray付)

 

 

誰にも聞こえない悲鳴が 内側で響く

気付かないふりをした人が 気付かれるのを待っている
 
いつか知った何かの言葉 重い鎧のように
この体を守るあまりに 動きを鈍くした
 
光らなくなった靴のこと 忘れてしまった唄のこと
失くさないで運んでいく やり方はないと決めている
 
誰にも聞こえない悲鳴が 内側で響く
ため息 胸に手を当てさせたのは誰だろう
 
明日生まれ変わったって 結局は自分の生まれ変わり
全部嫌いなままで 愛されたがった 量産型
 
この心 自分のもの 世界をどうにでも作り変える
どういじればどうなるか 本当はちゃんと知っている ずっと
 
誰かの掲げた旗を 目印にして
大人しく歩くけど 作った旗も隠してる
 
このまま終わるものだって なんとなく悟り
笑って歩くけど 作った旗が捨てられない
 
光らなくなった靴の光 忘れてしまった唄の唄
失くさないで運んでいく やり方を上手に出来ている
 
涙は君に羽をもらって キラキラ喜んで 飛んだ踊った
あまりにも綺麗だから愛されなかった 量産型
 
悲しいほど強い魂 どれだけ憎んでも消えない 消せない
何よりも綺麗な事 本当は もっと知っている ずっと
 
涙は君に羽をもらって キラキラ喜んで 飛んだ踊った
消えてしまう最後まで 命を歌った 量産型
 
その心 自分のもの 君が見たものから生まれてゆく
何よりも綺麗な事 本当はもっと知っている ずっと

 

歌詞考察 

誰にも聞こえない悲鳴が 内側で響く

気付かないふりをした人が 気付かれるのを待っている
悲鳴が誰にも聞こえないのは外側に音が出ていないから、
つまり心の声が叫んでる状況である。
気付かないふりをした人というのは、声に出さないで知らんぷりをした人、
つまり外面を気にした自分自身であり、気付かれるのを待っているのは内面の自分
 
本心では悲鳴を無視されたくない、でも気付かないふりをしたほうが都合がいい
そんな社会の中で矛盾を抱えて生きている主人公の様子がうかがえる。
いつか知った何かの言葉 重い鎧のように
この体を守るあまりに 動きを鈍くした
ここは気付かないふりをするようになった理由である。
「いつか知った何かの言葉」それが頭に残っていて、いつも気がかりになる。
たぶん「いつまでも夢ばっかりみるな」とか「まじめに勉強したほうが良い」とか
そういう現実的で、でも安全な道を教えてくれる言葉が重くのしかかってきて、
体を守りたいがために、本当にやりたいことができなくなってしまった。
 
光らなくなった靴のこと 忘れてしまった唄のこと
失くさないで運んでいく やり方はないと決めている
光らなくなった靴というのはきっと夢を追いかける気持ちがなくなったことを
忘れてしまった唄というのはきっと本当は歌いたかった本心(悲鳴)があったことを
そういったものを失くさないで生きていく方法はない
主人公はもう大人になって、夢は諦めるし、本心は忘れる、そういう生き方しかないと思い込んでいる。
 
誰にも聞こえない悲鳴が 内側で響く
ため息 胸に手を当てさせたのは誰だろう
それでもまだ心の悲鳴が鳴りやまない
それが音にならないため息となって出てくる
 
胸に手を当てさせたのは「誰」なのか?
もちろん自分以外の誰かではなくて、自分の中の「誰か」というのがポイントである。
BUMPではよくある自分の中の対話であるが、
個人的な解釈では、思考の中心にいて社会との関わりで悩む「外(今)の自分」と
興味関心の原動力であるが表面には出てこない「心(昔)の自分」がいて、
あと思考が止まっても惰性で動き続けて死なないように守ってくれる「体」という存在も登場することがある。
素直に考えれば「心の自分」なんだが、「体」が「心」を守るために動いたという見方もできて、解釈の幅が広い所だと思う。むずかしい
 
明日生まれ変わったって 結局は自分の生まれ変わり
全部嫌いなままで 愛されたがった 量産型
もし生まれ変わったら、というのは誰でも一度は考えたことだろう
有名人になりたいとか、あの人の彼氏になりたいとか、憧れの自分になりたいとか…
でも、本当に生まれ変わることなんてできるわけないから、
今の自分の抱えている暗い気持ちを捨て去って、心機一転、
明日からは新しい自分になろう!という考えになって、
実際にそういうことを書いた作品もたくさんある
the pillowsのハッピーバースデイとか、からくりサーカスの「いつも笑える僕になる」とか)
 
ただ、BUMPでは、生まれ変わったところで別人にはなれないよ、と歌う
 
これは少し哲学的な話になるが、もし本当に憧れの自分に生まれ変われたとして、
そこには昔の嫌いだったころの自分の意識がなければ意味がない、と思う。
そうでなければ昔の自分の意識が消えてしまう(死に等しい)からである。
タイムパラドックスと近しいところもあるかもしれない)
憧れの自分に生まれ変わったところで意識は嫌いだった頃の自分のまま、結局は外側だけ憧れになれたが、内側は嫌いな自分のままである。
 
ここで「愛してほしい」のは何なのか考える。
「憧れの外側」を愛されても嬉しいか?といわれたら、結局それは自分じゃないから何も嬉しくないのだ。
だって自分が生きてきたのは昔の嫌いだった頃の自分で、憧れの外側を手に入れてもその中身は変わってない。
 
いや厳密に言えば(ややこしい話になるが)、
「新しい今の自分」は「憧れの外側」を愛してもらえればうれしいだろう。
「でも生まれ変わる前の昔の自分」は「憧れの外側」を愛してもらっても別人なのだ。
 
基本的に「今の自分」を愛してほしい、というのが自然の摂理である。
でも「憧れになりたい未来を見ている自分」は「嫌いな今の自分」に変わってほしいと願ってしまう。
本当は、本心では、「嫌いな自分」は全部嫌いなままで愛されたがったのに、愛されなかった。
そして難解なワード「量産型」がでてくる。これは後半で話そうと思う
 
この心 自分のもの 世界をどうにでも作り変える
どういじればどうなるか 本当はちゃんと知っている ずっと
 心というのは考え方である。
世界を作り替えるというのは、ネガティブシンキングをポジティブシンキングにするようなもの。
どう頭の中で納得すれば前向きになれるのか、自分の中でちゃんと知っているよ、と。
 
でも知っているけど、どういじったのか、わからないまま、1番が終わる。
 
 
誰かの掲げた旗を 目印にして
大人しく歩くけど 作った旗も隠してる
誰かの掲げた旗=大人から教えられた安全な道=世界から好かれる自分への道
作った旗=自分で考えた理想の旗=自分に好かれる自分への道
 
ちょっと面白いのは、大人の言うとおりにすると大人しい、という言葉遊び
 
このまま終わるものだって なんとなく悟り
笑って歩くけど 作った旗が捨てられない
大人しく歩いたまま自分の人生は終わるべきなんだろうな、と悟っている主人公
安全な道だし笑っていられるくらいには幸せ、だけど昔の自分が忘れられない
光らなくなった靴の光 忘れてしまった唄の唄
失くさないで運んでいく やり方を上手に出来ている
1番の歌詞と似ているが違う点もある。こういうところがBUMPの歌詞の面白い所
 
1番ではあの頃はいてた靴は光らなくなっていたし、考えてた唄は忘れてしまった。
けど2番では、
光らなくなった靴に向けて、いまの自分に「光」が見えていることを、忘れてしまった唄に対して「あの頃の自分は歌いたいことがあったんだ」ということを唄にできた、という。
1番のときは夢は全部失くなって何も残っていないと思っていたのに
2番では失くした後のものにも、まだ心が残っていることに気づいた。
本心では、光らない靴のことを、失くしたものがあったことを、大切に思い続けていたのだ。
2番のサビに向けて歌詞が転換していくところが最高に心地よい
 
涙は君に羽をもらって キラキラ喜んで 飛んだ踊った
あまりにも綺麗だから愛されなかった 量産型
 ここの自分の解釈は二通りある。
 
まず涙の落ちる様子を歌詞にしたんじゃないかという説。
・瞳から出た涙は、瞼を閉じたときに空に浮かぶ=君に羽をもらった
・落ちている間は水滴が光を反射して光って見える=キラキラ喜んで
・落ちた雫は、飛び跳ねて散らばっていく=飛んだ踊った
・そして零れる一滴一滴は工場のように生まれてくる=量産型
 
もうひとつは、「昔の自分」の涙した本心を、「今の自分」が歌にしたという説。
ここまでの歌詞では1度も出てきていないが、涙を落とすような場面は実はたくさんあったように見える
「誰にも聞こえない悲鳴」「光らなくなった靴」「どういじればどうなるか」
 
言えない言葉を飲み込んで一人でこっそりと泣き、
夢を抱いていた気持ちは現実を見たとき叶わないことに涙し、
散々泣いた後は自分の心をいじって前向きに納得していた。
 
〈                                                                                       〉
 
本当は誰しも泣きたくないはずである。泣かないままの自分で愛されたい。
でも涙を流すときはある。現実はどうにもならず、受け入れないといけない時が来る。
涙というのはとても綺麗なのに、一度零せば涙を流す前にはもどれない。
泣いてしまえば自分の世界は変わってしまう。外の世界を受け入れてしまう。
 
悲しいほど強い魂 どれだけ憎んでも消えない 消せない
何よりも綺麗な事 本当は もっと知っている ずっと
悲しいほど強い魂とは涙を流させる自分の心であり、泣きたくないのに
涙が出るということは自分の心が間違っているんだから憎んでしまうのに
それも含めて自分自身だから簡単には消えてくれない
 
そして、何よりも綺麗な事=もっといい1番の正解を、主人公は知っているんだ
 
涙は君に羽をもらって キラキラ喜んで 飛んだ踊った
消えてしまう最後まで 命を歌った 量産型
その心 自分のもの 君が見たものから生まれてゆく
何よりも綺麗な事 本当はもっと知っている ずっと

落ちていく涙は、消えてしまう最後まで、昔の自分の「命」の象徴だった

忘れてしまった歌いたかった唄は、このたくさんこぼれる涙にあった

 

その心 自分のもの 君が見たものから生まれてゆく

でも涙を流したという心もまた「今の自分」のもので、「今の自分」=「君」が見てきたことから生まれたことだよ、と。

 

本当の正解を君はずっと前から知っていたんだ

 

 

まとめ

とりとめのない散文になって歌詞を読んできたが、ここでうまくまとめたいと思う。

 

 

涙は君に羽をもらって

 

主人公は涙をこぼすような出来事を経て、大人になった

 

光っていた靴は、涙をこぼして、光らなくなった靴になり、

あの頃あった唄は、涙をこぼして、忘れてしまった

 

しかし光らなくなった靴に光を見つけ、忘れたことを歌にする

これは涙がこぼれなければできないことだったのだ

 

そのことを大人になった主人公が歌にした。

涙は主人公に音楽をもらって、キラキラ喜んで、飛んだ踊った

音が消えてしまう最後まで 「命」を歌う唄に変わったんだ。

 

全部嫌いなままで 愛されたがった

 

本当はこの世に泣きたい人なんていない。

 

泣いてしまうのは世界と自分が相容れない時である。

 

世界が自分を嫌い、自分が世界を嫌っている

 

涙を止めるには自分が考え方を変えるか、世界が考えを変えるかどちらか。

 

自分は、自分が世界を嫌ったまま、世界に愛されたがった。

でも現実は自分が涙を流すことで世界を受け入れ、「昔の自分」は愛されなかった。

 

何よりも綺麗な事とは

この心 自分のもの 世界をどうにでも作り変える

その心 自分のもの 君が見たものから生まれてゆく

世界を作り変える心とは、結局のところ自分のものであり、

自分が見たことが理由となって 世界を作り変えていく

 

涙をこぼして世界を作り変えたこと

涙をこぼして「昔の自分」を諦めたこと

その涙というのも自分が見てきたものから生まれてきたんだ、ということ。

 

涙を流したことは世界に強制されたことではなく、

涙を流したいと思った自分がいたんだ。

 

こぼした涙は、「諦めた自分」はどうなったのか?

どんなに憎んでも消えないし、消せなかったけど

 

この歌でちゃんと羽をもらって、キラキラ喜んでいるんだよ

「諦めた自分」を歌った唄にして、命を歌ってくれている

 

何よりも綺麗なことというのは、

「涙を流した」ことである。

 

涙を流すことが大切なことを君は十分知っているんだよ。

Butterfly

最後にタイトルのButterflyについて、曲の中で一言で表すなら「涙」だろうと思う。

直訳すると「蝶」である。

今回の曲ではそのまま蝶のような歌詞で涙が歌われたが、

実はアルバム「Butterflies」では複数形になっていて、たくさんの涙の唄が収録されている。

 そこもいつか記事にしたいと思う

 

 

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

良ければ気軽にコメントをお願いします。みなさんの考えが知りたいのです。

 

 

曲名  firefly
作詞/藤原基央
firefly

firefly

 

蛍みたいな欲望が ハートから抜け出して

逃げるように飛び始めたものが夢になった

当然捕まえようとして 届きそうで届かなくて

追いかけていたら 物語になった

色んな場面を忘れていく

 
笑って泣いた頃もあって そうでもない今もあって
どっちでもいいけど どっちでも追いかけていた 
 分かれ道もたくさんあって 真っ暗に囲まれて
微かな金色に 必死で付いていった
 
いつの間にか見えなくなっても 行方探している
命の仕掛けは それでもう全部 
 
色々と難しくて 続ける事以外で
生きている事 確かめられない
報われないままでも 感じなくなっても
決して消えない 光を知っている
 
諦めなければきっとって どこかで聞いた通りに
続けていたら やめなきゃいけない時がきた
頑張ってどうにかしようとして 頑張りの関係ない事態で
ふと呼吸鼓動の 意味を考えた
 
解らない事ばかりの中 唯一解っていた
大切なものが あぁ
 
一人だけの痛みに耐えて 壊れてもちゃんと立って
諦めた事 黄金の覚悟
まだ胸は苦しくて 体だけで精一杯
それほど綺麗な 光に会えた
 
物語はまだ終わらない 残酷でもただ進んでいく
おいてけぼりの空っぽを主役にしたまま 次のページへ
 
色んな場面を忘れていく
命の仕掛けは わずかで全部
 
色々と難しくて 続ける事以外で
生きている事 確かめられない
報われないままでも 感じなくなっても
決して消えない 光を知っている

 

一人だけの痛みに耐えて 壊れてもちゃんと立って

諦めた事 黄金の覚悟

今もどこかを飛ぶ あの憧れと

同じ色に 傷は輝く

 

歌詞考察

蛍みたいな欲望が ハートから抜け出して

逃げるように飛び始めたものが夢になった

 

当然捕まえようとして 届きそうで届かなくて

追いかけていたら 物語になった

 

色んな場面を忘れていく

 曲の始まりが「夢」の始まりになっている。

主人公は輝かしい何か(好きなアーティストなど)に出会って、そうなりたいと欲望(憧れ)を持った。

これはきっと誰にでもある経験だと思う。なりたい自分を見つけた瞬間があって、そうなりたいから頑張りはじめる。行動力のあふれる子どもの頃の話。

 

その欲望はふわふわしていて蛍のように光って見える。

タイトルにもなっているように、「夢」=「蛍(firefly)」=「光」=「欲望」あたりが同一の意味であり、主軸になっていくので覚えておきたい。

 

欲望に従ってちょっと真似してやってみると上手くいった(光に届いた)ように見えてすぐに消えてしまう、すると今度は他のところに光が見えて、ついつい何度も追いかけてしまう。そうしている間に長い月日が経っていた。

思うに「物心ついた小学生」が「色んな場面があった大人」になるくらいには物語があったのだろう。
ここまでを1分で表現するあたりが凄いなぁと憧れる。
 
笑って泣いた頃もあって そうでもない今もあって
どっちでもいいけど どっちでも追いかけていた

笑って泣いた頃というのは、まだ感情豊かだった学生時代を、

そうでもない今というのは、もう失敗にも慣れて涙もでなくなった時だろうか。

それでも、この時は追いかけ続けることはやめてなかったのが信念の強さを感じさせる。
 
 分かれ道もたくさんあって 真っ暗に囲まれて
微かな金色に 必死で付いていった
 
いつの間にか見えなくなっても 行方探している
命の仕掛けは それでもう全部 

人生の分岐路に立つのは学生時代の終わりのときだろうか。

真剣に人生と向き合い、退屈で安全な道を選ぶこともできたし、夢をつかむチャンスと出会うこともあった。

思うにこうした分岐路の中では、自分とは違う選択をして成功した人たちだってたくさんいるし、後悔している人だってたくさんいる。

どの分岐を選ぶのが正解かわからなくなった時、それこそが真っ暗だ。

それでも、主人公は蛍のような夢だけを諦めきれず、微かな金色だけを求めた。

「命の仕掛けは それでもう全部」と言い切ってしまうところがカッコいい。

逆説的にいってしまえば「それがなければ命は動かない」んだから。

この力強さを持ってサビに入っていくところが大好きだ

 

色々と難しくて 続ける事以外で
生きている事 確かめられない
報われないままでも 感じなくなっても
決して消えない 光を知っている

人生というのは色々と難しいのが常であって、やりたいこと以外に多くの仕事や困難がある。それはとても大変で苦しく、きっと死にたくなるような毎日なんだろう。

それでも、「夢」を追い続けていれば生きていることを確かめられる。

たとえ夢が叶わず報われないままでも、涙が出なくなっても、

主人公には決して消えない「夢」があるから頑張っていけるのだ。

 

・・・1番のサビは、AメロBメロの内容を力強く歌い、夢と出会って、喜怒哀楽や紆余曲折があっても、それでもなお頑張り続ける主人公を歌っている。

ただ、正直に言うとここまではありきたりな内容で、諦めないことの素晴らしさを歌った曲は、この世にたくさんある。そう、ここからがこの曲の本題である。

 

 

諦めなければきっとって どこかで聞いた通りに
続けていたら やめなきゃいけない時がきた

2番に入って急に「現実」をたたきつけられる。

よくあるフレーズのように「諦めなければきっと」と信じ続けた主人公を地に落とすのである。そんな簡単にやめなきゃいけないことなんてないように思われるが・・・

 

頑張ってどうにかしようとして 頑張りの関係ない事態で
ふと呼吸鼓動の 意味を考えた

【頑張りの関係ない事態】という努力だけじゃ解決できない問題

子どものときには考えられなかった本当の終わり

その中身は人によるとは思うが、大人になればたくさん想像はつく

生まれつきの才能、周囲の環境の差、治らない怪我、尽きた資源、離れていく人々・・・

 

それでも頑張ってどうにかしようとした主人公に悲惨さを感じるが 

そんな現実と出会って1番のフレーズ「命の仕掛けは それでもう全部」が牙に変わる。

呼吸鼓動の意味を考えるとは、もちろん生物学的な意味ではなく、

「夢をかなえられなくなったのに、命の仕掛けが消えたのに、

どうしてまだ自分は心臓が動いているんだろう?」という問いかけになった。

 

解らない事ばかりの中 唯一解っていた
大切なものが あぁ

あの頃、 分岐路がたくさんあって、でも何が正解かぜんぜん解らなくて、

たった一つだけ見えていた「光」、それがもう二度と届かない

ここの「あぁ」という嘆きがとても心に響いたままサビに入る

 

一人だけの痛みに耐えて 壊れてもちゃんと立って
諦めた事 黄金の覚悟
まだ胸は苦しくて 体だけで精一杯
それほど綺麗な 光に会えた

「 一人だけの痛みに耐えて」というのはBUMPらしいフレーズだ。誰にも理解されることのない自分だけの辛さ、それこそ自分が頑張っていれば頑張っているほど、夢をもったときから積み重ねていた思いがすべて痛みに変わるのだから、他人には理解されることはないし、理解してほしくもないだろう。

「壊れてもちゃんと立って」ここもまたBUMPらしい考え方である。

何が壊れたのか考えたとき、僕は「命の仕掛け」というフレーズなのかと思った。

命の仕掛けは「夢」があったから動いていた、「夢」がなくなれば命の仕掛けは壊れる

ただそれでも体はまだ立つことができる。

 

そして「諦めた事」=「黄金の覚悟」大事なところで直球ストレートなフレーズ。

この曲の本当のテーマは「諦めなければ黄金になれる」ではなく

「諦めた事も黄金の覚悟」なのだ

 

胸は苦しくて、生きていくのも辛く、体を維持するのだけで精一杯

失ってしまえばそれほど辛くなってしまう、そんな「夢」に会えた

ここもこうやって読み解くと、「綺麗な光」というのはとても皮肉な感じがする。

しかし会えたと前向きに解釈しているところ、そしてそのままCメロに続いていくところが素晴らしい構成だと思わされる

 

物語はまだ終わらない 残酷でもただ進んでいく
おいてけぼりの空っぽを主役にしたまま 次のページへ

ここで物語はまだ終わらせない

1番がありきたりな理想の歌、2番が辛すぎる現実の歌

2番で終わればBAD ENDが確実で、人生など意味がない残酷なお話になる・・・が

夢を失って空っぽになったおいてけぼりの主人公には、続きがある

 

間奏が入って、夢を諦めてから時間がたっていく

色んな場面を忘れていく
命の仕掛けは わずかで全部

 1番と似たようで意味が違う。

あの時は夢を追い続けていたときの話だったが、ここからは夢を諦めた後の言葉。

諦めたときからまた色んな場面を忘れるほどの長い月日が過ぎ、

命の仕掛けは・・・

 

色々と難しくて 続ける事以外で
生きている事 確かめられない
報われないままでも 感じなくなっても
決して消えない 光を知っている

 もう夢は追いかけてはいない

人生はまだまだ難しいことばかりで、命の仕掛けを続ける事以外で

生きていることを実感できない

叶えることはできないから、絶対に報われないままで、何も感じなくなっても

それでも消えてくれない光を知っている

 

一人だけの痛みに耐えて 壊れてもちゃんと立って

諦めた事 黄金の覚悟

今もどこかを飛ぶ あの憧れと

同じ色に 傷は輝く

あのとき諦めた事、どれだけ痛くても、ちゃんと立って選択した黄金の覚悟

どんなに時間が経とうとも、今もまだ蛍のようにぼんやり光り出す、あの憧れの光

その黄金と同じ色に 主人公の傷は輝いている  

 

黄金の覚悟とは

黄金の覚悟とは「夢を諦めた事」である。

夢をかなえられなくなったことではなく、諦めた、つまり自分で現実を受け入れたことがポイントだと思う。現実に直面した時は主人公はまだ本気で受け入れられていなかった。頑張ってどうにかしようとして、あがいてあがいて、それでも駄目だった。あぁ無理なんだと。悲しいかな、届きそうだと思ったから頑張ってきたのに、どんな分岐路に立っても、その黄金の光だけを選んでやってきたのに、諦めなければいけなかった。

 

すべてを賭けて生きてきたものを捨てた後に、主人公に残されたものは何か。

 

命の仕掛けとは

1番では芽生えた心に忠実に、欲望のままがむしゃらに夢を追いかけて頑張っていた。それこそが「命の仕掛け」、つまり生きる原動力となっていた。しかし2番で「夢」は現実によって叶えられないものになった。諦めるしかない。

そして夢を諦めたとき、命の仕掛けは壊れてしまったのである。

 

後の主人公に残されたのは「体」だけである。

 

しかし、体には痛みがあり、痛みには傷があった。

なぜ傷がついたのか?それは「夢」を追いかけていたからである。

 

この傷は夢と同じになろうとして頑張ってきた証であり、

手に入らなかった夢の代わりの「存在証明」であり、

わずかに残った「命の仕掛け」であり、

その証拠として傷は夢と同じ色をもって輝き始めるのである。

 

firefly

最後にタイトルのfireflyについて、曲の中で一言で表すなら「憧れ」だろうと思う。

fire+flyに分けると「飛んでいる火」である。僕の感覚では、憧れの人というのは高いエネルギーを感じ、輝いているし、胸の奥にはすごい熱量を感じる。なるほど確かにそれっぽい

また、直訳の「蛍」としてみると、道しるべとしてとても面白い表現だと思う。

歌詞の通り、人生は真っ暗になったり分岐路が多かったり、明るくて逆に夢を見失う時もある。夢をしっかり言葉にするのも難しく、結局はふわふわしてぼんやりと出たり消えたりするものである。それを「蛍」と表現するのはなかなか的を射ている。

 

そして最後に、BUMPの中で真っ暗で「光って」「動くもの」は有名なあれがある。

それもまた、あの頃の一瞬で見つけた「夢」を表しているのだろうと思うので

いつか自分なりに考察したく思う。

 

 

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

良ければ気軽にコメントをお願いします。みなさんの考えが知りたいのです。

BUMPアルバム収録曲一覧

Butterflies

01 GO.

02 Hello, world!.

03 Butterfly.

04 流星群.

05 宝石になった日.

06 コロニー.

07 パレード.

08 大我慢大会.

09 孤独の合唱.

10 You were here.

11 ファイター.

 

RAY

01 WILL.

02 虹を待つ人

03 ray.

04 サザンクロス.

05 ラストワン.

06 morning glow.

07 ゼロ

08 トーチ.

09 Smile

10 firefly

11 white note.

12 友達の唄

13 (please)forgive.

14 グッドラック

 

COSMONAUT

01-三ツ星カルテット.

02-R_I_P_.

03-ウェザーリポート.

04-分別奮闘記.

05-モーターサイクル.

06-透明飛行船.

07-魔法の料理 ~君から君へ~.

08-HAPPY.

09-66号線.

10-セントエルモの火.

11-angel fall.

12-宇宙飛行士への手紙.

13-イノセント.

14-beautiful glider.

 

orbital period

01 voyager.

02 星の鳥.

03 メーデー.

04 才悩人応援歌.

05 プラネタリウム.

06 supernova.

07 ハンマーソングと痛みの塔.

08 時空かくれんぼ.

09 かさぶたぶたぶ.

10 花の名.

11 ひとりごと.

12 飴玉の唄.

13 星の鳥(reprise).

14 カルマ.

15 arrows.

16 涙のふるさと.

17 flyby.

 

ユグドラシル

01 Asgard.

02 オンリーロンリーグローリー.

03 乗車権.

04 ギルド.

05 Embrace.

06 Sailing Day.

07 同じドアをくぐれたら.

08 車輪の唄.

09 スノースマイル.

10 レム.

11 Fire Sign.

12 太陽.

13 ロストマン.

14 Midgard.

 

jupiter

01 Stage of the ground.

02 天体観測.

03 Title of mine.

04 キャッチボール.

05 ハルジオン.

06 ベンチとコーヒー.

07 メロディーフラッグ.

08 ベル.

09 ダイヤモンド.

10 ダンデライオン.

 

 

The Living Dead

01 Opening.

02 グングニル.

03 ベストビクチャー.

04 続.くだらない唄.

05 ランプ.

06 K.

07 リリィ.

08 Ever Lasting Lie.

09 グロリアスレボリューション.

10 Ending.

 

Flame Vein+1

01 ガラスのブルース.

02 くだらない唱.

03 アルエ.

04 リトルブレイバー.

05 ノーヒットノーラン.

06 とっておきの唱.

07 ナイフ.

08 バトルクライ.

 

present from you

01 ラフ・メイカ

02 バイバイサンキュー

03 彼女と星の椅子

04 ホリデイ

05 Ever lasting lie(Acoustic Version)

06 睡眠時間

07 夢の飼い主

08 スノースマイル(ringing version)

09 銀河鉄道

10 真っ赤な空を見ただろうか

11 東京賛歌

12 ガラスのブルース(28 years round)

13 プレゼント