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曲名 firefly
作詞/藤原基央
- アーティスト: BUMP OF CHICKEN
- 出版社/メーカー: トイズファクトリー
- 発売日: 2012/09/12
- メディア: CD
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蛍みたいな欲望が ハートから抜け出して
逃げるように飛び始めたものが夢になった
当然捕まえようとして 届きそうで届かなくて
追いかけていたら 物語になった
色んな場面を忘れていく
笑って泣いた頃もあって そうでもない今もあってどっちでもいいけど どっちでも追いかけていた分かれ道もたくさんあって 真っ暗に囲まれて微かな金色に 必死で付いていったいつの間にか見えなくなっても 行方探している命の仕掛けは それでもう全部色々と難しくて 続ける事以外で生きている事 確かめられない報われないままでも 感じなくなっても決して消えない 光を知っている諦めなければきっとって どこかで聞いた通りに続けていたら やめなきゃいけない時がきた頑張ってどうにかしようとして 頑張りの関係ない事態でふと呼吸鼓動の 意味を考えた解らない事ばかりの中 唯一解っていた大切なものが あぁ一人だけの痛みに耐えて 壊れてもちゃんと立って諦めた事 黄金の覚悟まだ胸は苦しくて 体だけで精一杯それほど綺麗な 光に会えた物語はまだ終わらない 残酷でもただ進んでいくおいてけぼりの空っぽを主役にしたまま 次のページへ色んな場面を忘れていく命の仕掛けは わずかで全部色々と難しくて 続ける事以外で生きている事 確かめられない報われないままでも 感じなくなっても決して消えない 光を知っている
一人だけの痛みに耐えて 壊れてもちゃんと立って
諦めた事 黄金の覚悟
今もどこかを飛ぶ あの憧れと
同じ色に 傷は輝く
歌詞考察
蛍みたいな欲望が ハートから抜け出して
逃げるように飛び始めたものが夢になった
当然捕まえようとして 届きそうで届かなくて
追いかけていたら 物語になった
色んな場面を忘れていく
曲の始まりが「夢」の始まりになっている。
主人公は輝かしい何か(好きなアーティストなど)に出会って、そうなりたいと欲望(憧れ)を持った。
これはきっと誰にでもある経験だと思う。なりたい自分を見つけた瞬間があって、そうなりたいから頑張りはじめる。行動力のあふれる子どもの頃の話。
その欲望はふわふわしていて蛍のように光って見える。
タイトルにもなっているように、「夢」=「蛍(firefly)」=「光」=「欲望」あたりが同一の意味であり、主軸になっていくので覚えておきたい。
欲望に従ってちょっと真似してやってみると上手くいった(光に届いた)ように見えてすぐに消えてしまう、すると今度は他のところに光が見えて、ついつい何度も追いかけてしまう。そうしている間に長い月日が経っていた。
思うに「物心ついた小学生」が「色んな場面があった大人」になるくらいには物語があったのだろう。笑って泣いた頃もあって そうでもない今もあってどっちでもいいけど どっちでも追いかけていた
笑って泣いた頃というのは、まだ感情豊かだった学生時代を、
そうでもない今というのは、もう失敗にも慣れて涙もでなくなった時だろうか。
分かれ道もたくさんあって 真っ暗に囲まれて微かな金色に 必死で付いていったいつの間にか見えなくなっても 行方探している命の仕掛けは それでもう全部
人生の分岐路に立つのは学生時代の終わりのときだろうか。
真剣に人生と向き合い、退屈で安全な道を選ぶこともできたし、夢をつかむチャンスと出会うこともあった。
思うにこうした分岐路の中では、自分とは違う選択をして成功した人たちだってたくさんいるし、後悔している人だってたくさんいる。
どの分岐を選ぶのが正解かわからなくなった時、それこそが真っ暗だ。
それでも、主人公は蛍のような夢だけを諦めきれず、微かな金色だけを求めた。
「命の仕掛けは それでもう全部」と言い切ってしまうところがカッコいい。
逆説的にいってしまえば「それがなければ命は動かない」んだから。
この力強さを持ってサビに入っていくところが大好きだ
色々と難しくて 続ける事以外で生きている事 確かめられない報われないままでも 感じなくなっても決して消えない 光を知っている
人生というのは色々と難しいのが常であって、やりたいこと以外に多くの仕事や困難がある。それはとても大変で苦しく、きっと死にたくなるような毎日なんだろう。
それでも、「夢」を追い続けていれば生きていることを確かめられる。
たとえ夢が叶わず報われないままでも、涙が出なくなっても、
主人公には決して消えない「夢」があるから頑張っていけるのだ。
・・・1番のサビは、AメロBメロの内容を力強く歌い、夢と出会って、喜怒哀楽や紆余曲折があっても、それでもなお頑張り続ける主人公を歌っている。
ただ、正直に言うとここまではありきたりな内容で、諦めないことの素晴らしさを歌った曲は、この世にたくさんある。そう、ここからがこの曲の本題である。
諦めなければきっとって どこかで聞いた通りに続けていたら やめなきゃいけない時がきた
2番に入って急に「現実」をたたきつけられる。
よくあるフレーズのように「諦めなければきっと」と信じ続けた主人公を地に落とすのである。そんな簡単にやめなきゃいけないことなんてないように思われるが・・・
頑張ってどうにかしようとして 頑張りの関係ない事態でふと呼吸鼓動の 意味を考えた
【頑張りの関係ない事態】という努力だけじゃ解決できない問題
子どものときには考えられなかった本当の終わり
その中身は人によるとは思うが、大人になればたくさん想像はつく
生まれつきの才能、周囲の環境の差、治らない怪我、尽きた資源、離れていく人々・・・
それでも頑張ってどうにかしようとした主人公に悲惨さを感じるが
そんな現実と出会って1番のフレーズ「命の仕掛けは それでもう全部」が牙に変わる。
呼吸鼓動の意味を考えるとは、もちろん生物学的な意味ではなく、
「夢をかなえられなくなったのに、命の仕掛けが消えたのに、
どうしてまだ自分は心臓が動いているんだろう?」という問いかけになった。
解らない事ばかりの中 唯一解っていた大切なものが あぁ
あの頃、 分岐路がたくさんあって、でも何が正解かぜんぜん解らなくて、
たった一つだけ見えていた「光」、それがもう二度と届かない
ここの「あぁ」という嘆きがとても心に響いたままサビに入る
一人だけの痛みに耐えて 壊れてもちゃんと立って諦めた事 黄金の覚悟まだ胸は苦しくて 体だけで精一杯それほど綺麗な 光に会えた
「 一人だけの痛みに耐えて」というのはBUMPらしいフレーズだ。誰にも理解されることのない自分だけの辛さ、それこそ自分が頑張っていれば頑張っているほど、夢をもったときから積み重ねていた思いがすべて痛みに変わるのだから、他人には理解されることはないし、理解してほしくもないだろう。
「壊れてもちゃんと立って」ここもまたBUMPらしい考え方である。
何が壊れたのか考えたとき、僕は「命の仕掛け」というフレーズなのかと思った。
命の仕掛けは「夢」があったから動いていた、「夢」がなくなれば命の仕掛けは壊れる
ただそれでも体はまだ立つことができる。
そして「諦めた事」=「黄金の覚悟」大事なところで直球ストレートなフレーズ。
この曲の本当のテーマは「諦めなければ黄金になれる」ではなく
「諦めた事も黄金の覚悟」なのだ
胸は苦しくて、生きていくのも辛く、体を維持するのだけで精一杯
失ってしまえばそれほど辛くなってしまう、そんな「夢」に会えた
ここもこうやって読み解くと、「綺麗な光」というのはとても皮肉な感じがする。
しかし会えたと前向きに解釈しているところ、そしてそのままCメロに続いていくところが素晴らしい構成だと思わされる
物語はまだ終わらない 残酷でもただ進んでいくおいてけぼりの空っぽを主役にしたまま 次のページへ
ここで物語はまだ終わらせない
1番がありきたりな理想の歌、2番が辛すぎる現実の歌
2番で終わればBAD ENDが確実で、人生など意味がない残酷なお話になる・・・が
夢を失って空っぽになったおいてけぼりの主人公には、続きがある
間奏が入って、夢を諦めてから時間がたっていく
色んな場面を忘れていく命の仕掛けは わずかで全部
1番と似たようで意味が違う。
あの時は夢を追い続けていたときの話だったが、ここからは夢を諦めた後の言葉。
諦めたときからまた色んな場面を忘れるほどの長い月日が過ぎ、
命の仕掛けは・・・
色々と難しくて 続ける事以外で生きている事 確かめられない報われないままでも 感じなくなっても決して消えない 光を知っている
もう夢は追いかけてはいない
人生はまだまだ難しいことばかりで、命の仕掛けを続ける事以外で
生きていることを実感できない
叶えることはできないから、絶対に報われないままで、何も感じなくなっても
それでも消えてくれない光を知っている
一人だけの痛みに耐えて 壊れてもちゃんと立って
諦めた事 黄金の覚悟
今もどこかを飛ぶ あの憧れと
同じ色に 傷は輝く
あのとき諦めた事、どれだけ痛くても、ちゃんと立って選択した黄金の覚悟
どんなに時間が経とうとも、今もまだ蛍のようにぼんやり光り出す、あの憧れの光
その黄金と同じ色に 主人公の傷は輝いている
黄金の覚悟とは
黄金の覚悟とは「夢を諦めた事」である。
夢をかなえられなくなったことではなく、諦めた、つまり自分で現実を受け入れたことがポイントだと思う。現実に直面した時は主人公はまだ本気で受け入れられていなかった。頑張ってどうにかしようとして、あがいてあがいて、それでも駄目だった。あぁ無理なんだと。悲しいかな、届きそうだと思ったから頑張ってきたのに、どんな分岐路に立っても、その黄金の光だけを選んでやってきたのに、諦めなければいけなかった。
すべてを賭けて生きてきたものを捨てた後に、主人公に残されたものは何か。
命の仕掛けとは
1番では芽生えた心に忠実に、欲望のままがむしゃらに夢を追いかけて頑張っていた。それこそが「命の仕掛け」、つまり生きる原動力となっていた。しかし2番で「夢」は現実によって叶えられないものになった。諦めるしかない。
そして夢を諦めたとき、命の仕掛けは壊れてしまったのである。
後の主人公に残されたのは「体」だけである。
しかし、体には痛みがあり、痛みには傷があった。
なぜ傷がついたのか?それは「夢」を追いかけていたからである。
この傷は夢と同じになろうとして頑張ってきた証であり、
手に入らなかった夢の代わりの「存在証明」であり、
わずかに残った「命の仕掛け」であり、
その証拠として傷は夢と同じ色をもって輝き始めるのである。
firefly
最後にタイトルのfireflyについて、曲の中で一言で表すなら「憧れ」だろうと思う。
fire+flyに分けると「飛んでいる火」である。僕の感覚では、憧れの人というのは高いエネルギーを感じ、輝いているし、胸の奥にはすごい熱量を感じる。なるほど確かにそれっぽい
また、直訳の「蛍」としてみると、道しるべとしてとても面白い表現だと思う。
歌詞の通り、人生は真っ暗になったり分岐路が多かったり、明るくて逆に夢を見失う時もある。夢をしっかり言葉にするのも難しく、結局はふわふわしてぼんやりと出たり消えたりするものである。それを「蛍」と表現するのはなかなか的を射ている。
そして最後に、BUMPの中で真っ暗で「光って」「動くもの」は有名なあれがある。
それもまた、あの頃の一瞬で見つけた「夢」を表しているのだろうと思うので
いつか自分なりに考察したく思う。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
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